自己紹介記事

心地良い空間のために、僕が考えること

「風」とはどのような概念か

「風」とはどのような概念か

僕の考える「風」の概念をひとことで言えば「心地良い空間」「気持ち良い空間」です。建築空間は、心地良く、気持ち良く過ごせることが大前提です。心地良い空間をつくることは簡単ではありません。方位や景色、光や風の流れ、目線の動き、空間の構成、素材、テクスチャー……ありとあらゆるエレメントを組み合わせて構築するものです。

世界旅行をしたときの体験と建築の設計活動との関係

僕は、バックパックを背負って旅した経験を持っています。世界を見ること、知ることは、建築家として見識を広めるという意味で必要だと思っています。異文化や異風習を体験し、知らない街を歩き、人と出会って会話をすることで感性が磨かれますし、創作活動には重要です。

「風」のコンセプトと「旅感覚」の関係

「風」のコンセプトと「旅感覚」の関係

見知らぬ街に足を踏み入れるときの心地良い緊張感と、新しいものを発見したときの新鮮な感動、文化や習慣や人々との出会い、そして会話……。そのような心地良い緊張感や初めて体験する感動や発見することのワクワク感こそが「旅感覚」の視点と建築概念の「風」の融合だと思います。

例えば、玄関のドアを開けたときに、はじめて訪れる旅先で体験するような、心地良い緊張感とワクワク感が味わえたら――素敵だと思いませんか?

ヨーロッパよりもアジアや南米に興味を持つ

ヨーロッパよりもアジアや南米に興味を持つ

僕は、ヨーロッパもアメリカも大好きです。ただ、そこにあるのは「ある程度想定できる感動」です。しかしアジアや南米の名もない村は、想像を超える魅力にあふれていました。粗末なつくりでも、水たまりばかりの道であっても、廃墟と化した家でさえ、大地と調和した自然体の美しさがあります。お金をかけなくても、素朴で身近な素材でも「絵になる空間」はできる、ということの証明です。

住む人の魅力を引き出すのが大事

建築(街・住宅・別荘・セカンドハウス)における主人公は住む人たちですが、僕が出会ったアジアや南米の「主人公たち」は、みんな良い笑顔をしているんです。特に子供たちは最高の笑顔を見せてくれます。笑顔がある空間は大事です。住む人が笑顔だと、空間も街も魅力的になります。当たり前のようですが、貴重で、衝撃的な発見でした。僕の建築は「風を感じる空間、人の笑顔であふれる空間にしたい」という姿勢で設計しています。

旅の経験が設計に与えた影響

旅の経験が設計に与えた影響

旅の途中で体調を崩して寝込んだことも、財産を失ったこともありますが(笑)、人に助けられたからこそ無事に旅を続けられたんだと思っています。自分一人ではいくら頑張っても限界があります。それは設計も同じことで、いくら一生懸命に設計図を描いても、実際につくる人と住む人がいなければ建築になりません。建築工事現場では技術的なことに関して強く意見交換をすることもありますが、やはり人間関係やコミュニケーションが大事だと気づかされました。

専門学校で教鞭をとっていた経験

専門学校で教鞭をとっていた経験

僕は、都内の専門学校で13年間非常勤講師をしていました。最初は設計製図から計画などの講義も担当していましたが、後半は設計製図や卒業設計の指導を担当していました。設計方面の仕事を志す学生を指導することは大好きですし、天職だと思っています。

僕が毎年共通して伝えていたことは、設計者はデザイン能力も大事だが提案する能力はさらに大切であり、そのためにはあらゆる角度から物事を見る力をつけるべきだということ。また、良いデザインや発想は簡単にできるものではなく、考えて考えて考え抜いてこそできるものだということです。何が何でもやり抜く精神力が必要であることを伝えてきました。

講師経験で設計活動に役立っていること

1つの課題に対して100人以上(ピーク時で400人超)の学生が作品を提出するのですが、同じプランは1つとして出てきません。建築には「これが絶対」という明確な回答がありません。依頼主も違えば設計者によっても答え方が違うということが、常に新鮮な気持ちを与えてくれます。

毎年担当していても、そのたびに気持ちが新たになります。「あらゆる角度からものを捉える」ということを僕自身も学べます。1年生の授業で「自然を楽しむ住まい」という、自然環境内の敷地に家を建てる課題があるのですが、「自然を楽しむ」というテーマに対するコンセプトのアプローチの仕方はいつも興味深く思いながら担当していました。

建築に対して大切にしている心構え

建築に対して大切にしている心構え

建築空間の探求には終わりがありません。なによりも自分自身が「感性が豊かであること」を心がけなければ、依頼主の要望やアイデアを具現化することはできません。誰もが思わず笑顔になれる、より魅力的で、より心地良い、気持ち良い別荘をつくりたいです。