日常とは違う別荘での生活。
自然に囲まれ、素敵な景色を眺めて、ゆったりと過ごしたい。
友人を集めて楽しくパーティをしたい。
……いろいろな思いがあると思います。
何のためにつくるのか? 何に気をつけるべきか?
別荘にも住宅にも共通することですが、つくるのは基本的に一生に一度きりです。そのため、長期的な視点での判断が必要です。多くの人は「今」の想い・願望をもとにしがちです。しかし、建築は20年、30年、40年後までを見据えて考えるべきであり、老後の利用や居住性・維持性・メンテナンス性なども視野に入れる必要があります。
別荘をつくる目的とは何か?
別荘は、生活の場である住宅とは少し違うコンセプトでつくれるものです。「何部屋つくりたい」「何坪で建てたい」「かっこよくしたい」という発想(ハード)もあっていいと思いますが、ソフト面(コンセプト)を重要視したいものです。「何で別荘をつくるか」「そこで何をしたいのか」「どうありたいのか」そんな目的を話しあうことは大切です。家族で、そして建築家と共に一緒になって考えることが大事だと考えています。
別荘は、美しい自然環境の中に建てる「セカンドハウス」。だからこそ、周辺環境との調和がとれた美しいデザインや空間がとても大事です。しかし、現実も見なければなりません。別荘地に行くと、すでに使われなくなっている別荘や廃墟のようになっている別荘を多く目にします。これは、建築家としては悲しい現実です。僕は、建築物を「作品」として心を込めて設計する以上、親しまれ、末長く愛されながら使われる存在であって欲しいと思うのです。
「別荘の現実」知っておくべきことは
寒冷地だと、冬場は利用しないという方も多くいます。オフシーズンは人が少なく、店も閉まり寂しい街になります。除雪の作業も大変だし、水抜き(水道の凍結防止措置)も面倒……。そんな話も寒冷地の別荘(軽井沢や那須等)ライフでは受け止めないといけない条件です。海沿いであるならば、潮風による塩害や台風などの対応が必ずあります。また、建築物は利用しないと老朽化が始まります。
- 遠路はるばるやってきたら、部屋が凍りつくような寒さだった……
- 利用しない期間に管理をする人間がいない……
- コストを抑えて建てたら10年もせずに傷みきってしまった……
- メンテナンス費用だけで、かなり高額になってしまう……
このような諸問題をあらかじめ少しでも解決していくためには、計画する別荘建築や別荘ライフについての「理想」と「現実」を冷静に把握すること、そして「コンセプト(何を目的に建てるか)」に対して確信をもって臨むことが大切です。
冷静に現実を把握した上で楽しい別荘ライフを
別荘をつくりたいという「願望」、自然の中で生活したいという「夢」、友人を招いて楽しく過ごしたいという「イメージ」……。建築にあたって、これらを持つことは大切です。別荘建築空間は魅力的で素晴らしいものです。そこでの別荘ライフにも、楽しいことがたくさんあります。しかし、それと同時に厳しい自然と向き合う生活や、建物を維持していくという現実もあるのです。「長所と短所」「夢と現実」のバランスを最初に確認することが大事だと思います。
米村和夫ミニコラム「建築家の仕事でもっとも大切なものは?」
建築家の仕事において大切なこと……その答えは「依頼主の利益を守ること」です。もちろんデザインにこだわることも大事ですが、建築家は「建築主の代理人」という意識を持たなければなりません。そのため、建設会社から紹介される建築家(設計士)や住宅メーカー・工務店に籍をおく設計士とは根本的にスタンスが違うのです。
もし現場で建築主に不利益となるようなことを目撃した場合、どう対応するか。そこが二者の大きな違いとなります。
米村和夫ミニコラム「建築家に依頼するメリットとは?」
家を建てるなら、工務店・ハウスメーカー・建築家のうち、どこに頼むべきなのか……。悩まれている方は多いかと思います。もちろん、おすすめするのは「建築家に依頼すること」。
こちらでは3者を比較しますので、ぜひご参考にしてください。
メリット | デメリット | |
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工務店 | ・地域密着型の場合対応が親身 ・過去の事例を確認できる |
・デザインに限界がある ・工務店による技術力の差が大きい ・設計上の問題点が把握しきれない |
ハウスメーカー | ・工期が短い ・各種手続きを任せられる ・ブランド力がある |
・満足に打ち合わせができない ・工事費が割高になる ・広告費などが上乗せされる ・担当者はあくまでビジネスマン |
建築家 | ・納得できるまで打ち合わせできる ・プロとしての提案が期待できる ・住まいのすべてを自由に作れる ・施工監理まで任せられる ・施工する工務店を自由に選べる ・狭小地や変形地でも施工できる ・金額を抑えた提案もしてもらえる |
・工務店より設計料が高くなりがち ・良くも悪くも建築家の個性が出る ・建築家による技術力の差が大きい |